2019年07月31日

DSA集会 ビル・イェイツさんとの一問一答

2019ZENKOin東京に参加したDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)のビル・イェイツさんを囲み、7月29日都内で国際連帯集会が開かれました。以下は、同集会での質疑応答の概要です(実際の質問順ではありません)。主催者の了承を得て、投稿します。

《質問1:DSAに入会するにはどうするのか。会費はいくらか》

DSA加入は簡単だ。簡単にしている。一番簡単な方法は、DSAのウェブサイトで「Join(加入)」をクリックすること。会費はいろんな区分があり、標準は年60ドルで、失業者や学生、高齢者など経済的に困難を抱えた人は減免会費になる。会費とは別に、月単位でカンパも募集している。5ドルとか好きな額でよい。120ドルカンパしてうち60ドルを年会費に回すのもよい。全国委員会ではカンパの増額を呼びかけている。私は月20ドルを納入。クレジットカード払いもできる。

納めた会費の6割が支部の活動に、4割が全国レベルの活動に充てられる。ただ、この仕組みはごく最近スタートしたばかりだ。

《質問2:DSAはいずれ政党になるのか》

私はそうは思わないが、可能性はある。政党でない理由は、米国の選挙制度にある。米国では(2大政党以外の)第3の政党はどこにも行き場がない。しかし、私たちは政治に関わる。民主党を選挙のための扉として利用する。民主党に入るのを止めるルールは何もない。現在の選挙制度では、政党でないほうが(政治に関わる上で)意味がある。MDSも同じ考え方ではないか。立候補するときは無所属として立候補するのか。

《質問3:DSAは「多元的(pluralistic)で複数の傾向を持つ(multi-tendency)組織」ということだが、もう少し説明を。また、意見や方針の違いが生じたときはどのように克服していくのか》

いい質問だ。DSAのウェブサイトに「DSAとは何か」を自己紹介しているページがあり、その言葉を使っている。その表現に決めるのには、何か月も時間をかけて議論した。

“複数の傾向”について言えば、私たちのシアトル支部にも「環境社会主義者」「マルクス主義=社会主義者」「LGBT社会主義者」「女性社会主義グループ」など4つか5つの異なる傾向がある。ナチのメンバーでない限り、私たちは誰も排除しない。

多元主義ないし複数主義の考え方のもとでは、どのような議論にも基本的に2つの立場があり、一方が他方を圧倒して済ませるということはできるだけ避ける。その保障の一つとして、不満を申し出られる機関(grievance system=苦情処理制度)を組織内に設けている。議論をする際はつねに、両方の立場に立つ者がそれぞれの意見を表明する機会を与えられる。

これが機能しているかどうかは、8月2日から始まるDSA大会で分かるだろう。DSA大会は隔年開催だが、今回はこれまで最大の大会になる。代議員は1000人以上。議論も多面的になるだろう。

《質問4:最近米国で、ファストフード店などで最低賃金引き上げを求める闘いや公立学校教員の闘いが広がっていると聞いた。それらの闘いにDSAはどう取り組んでいるのか》

労働者の権利については、DSAは労働者の組織化、労働運動支援に大きく関わっている。支部にも、全国レベルにも、労働運動委員会がある。前回2017年のDSA大会で3つの重点決議を上げたが、その1つが労働運動・労働者の権利にかかわる決議だ(他の2つはメディケア・フォー・オールと選挙活動)。

私たちシアトル支部の労働者メンバーも、アマゾンの労働者がストライキを始めた際に積極的な役割を果たした。毎週水曜日には「労働者組織化プロジェクト」の会議を開いている。このプロジェクトを始めた理由は、支部メンバーの中にはアマゾンやマイクロソフトで働いている者や非正規労働者もいて、従来の(高い賃金を得ている巨大労組の組合員のような)組織化のスタイルは通用しないからだ。私たちはまず、小さな企業の、まだ自分たちの声が届いていないと感じている労働者から組織していく。労働組合づくりがDSAメンバーから始まることもある。いま取り組んでいるのは博物館・美術館職員の組織化だ。

最賃引き上げの闘いにもDSAメンバーは関わっている。みなさんシアトルに行けば、どこかでストライキが行われているだろう。そのピケットラインには必ずDSAメンバーがいる。ストライキこそ私たち社会主義者がやることだ。

ボーイング社で闘われたストライキは大規模で、市全体が機能マヒするぐらいだった。しかし、労働組合は会社に勝てず、同社の生産ラインはサウスカロライナ州に移転した。最後の協定で同社はシアトルにとどまると約束したので、組合指導部は協定にサインしたが、1年後、航空機の生産はノースカロライナかサウスカロライナで行われることになった。ここで関心を引くのは、トラブルが頻発しているボーイング737型機はすべて、低賃金労働者の多いサウスカロライナのラインで製造されたことだ。

シアトルは最賃闘争の世界の中心地になっている。時給15ドルを初めて実現したのがシアトル。これは直接行動でかちとった成果だ。最賃を決める市議会の会議場をいっぱいにして毎日、1か月間座り込んだ。

《質問5:メディケア・フォー・オール(以下、MfA)やグリーン・ニュー・ディール(以下、GND)の財源は? 富裕層への課税はよく聞くが、軍事費削減は掲げないのか》

バーニー・サンダースが政策を明確に打ち出している。例えば、フリー・カレッジ・フォー・オール(学費無償化)の財源としては(金融)取引税の導入を主張する。コンマ以下の低い税率で株式市場の売買に課税し、巨額の税収を得られる。金持ちから取り立てて貧困層に回すので、ロビンフッド税とも呼ばれる。エコノミストの試算によると、これで学費無償化の全予算をカバーできる。

MfAの場合は少し違う。右派は「MfAだって? カネがかかりすぎる。増税になる」と宣伝する。これはトランプの典型的なウソだ。MfAは全国民から3%の税をとるが、保険料は払う必要がない。今のメディケアがタダではないというのはその通り。私もメディケアの加入者だ。メディケアは医療費の80%しかカバーできない。500〜600ある民間保険会社が残りの20%の部分を保険商品として提供し、そこから儲けを得ている。MfAではこの20%を被保険者が負担しなくてもよくなる。しかも、医療費の支払い元はただ一つ、米国政府の「メディケア・プログラム」だ。

最終的にはこうなる。私がメディケアで医者にかかるとする。私はメディケア税を一つの保険者=米国政府に納める。民間保険会社は何も得られない。単一支払い者制度とも呼ばれる。日本も同じではないか。

一つデメリットは、民間保険会社の儲けがなくなると、それらの会社の社員が職を失うこと。しかし、この人びとは政府が雇えばよい。MfAによって社会保障を運営するためにより多くの政府職員が必要になるのだから。仕事は失ってもメディケアは手にすることができるし。

軍事費の削減は一つの可能性だ。あるいは、富裕層に課税する。トランプが最初にやったのは、財産税の減税。これを復活する。軍事費も連邦予算の30%(この数字は不正確かもしれない)を占めており、カットの対象。あるいは、海外に駐留する米軍兵士を呼び戻せばよい。アフガニスタン、イラクの戦争には何兆ドルもの経費がかかっている。沖縄の米軍基地がなくなればいくら予算が節約できるか考えるべきだ。

GNDは少し複雑だ。財源問題はどれだけの人びとにそのための雇用の機会を与えるかによる。GNDは1930年代のルーズベルト大統領の政策を参考にしている。当時、ダムを造り、道路を造った。そのために多くの労働者を、道路の清掃などにも、雇用した。「雇用促進局(Works Progress Administration)」が設置された。今回もニュー・ディールだが、焦点は環境保護に向けられている。風力発電を広げ、グリーンな=環境にやさしい事業を展開する。気候変動に対応することが必要だ。次世代のために1千万本の木を植えようというプロジェクトを何かで読んだことがある。ドイツの科学者が提唱している。

《質問6:MMT(現代貨幣理論)をどう評価するか》

残念ながら、聞いたことがあるが、私はエコノミストではないのでよく知らない。

《質問7:戸別訪問(Canvass=キャンヴァス)のフォローアップはどのようにしているのか》

ケース・バイ・ケースだ。1週間か10日たってから、戸別訪問した人たちとコンタクトし、私たちに支持を寄せ続けてくれているかどうかを確かめる。支部として何かイベントがあれば、例えば「バーニー・サンダースが来てメディケアのことを話しますが、興味があれば来ませんか」と誘う。

戸別訪問の結果は3つに区分してある。Yes(○)、Maybe(△)、No(×)の3つ。△の人のところをフォローアップすることが重要だ。しかし、×の人と関係を断つこともしない。なぜなら、人の気持ちはつねに変わるからだ。何かが起こったために自分の考えを変える人もいる。

《質問8:戸別訪問でドアを開けてもらえる人の割合は? オートロックのマンションなどではどうするのか》

オートロック・マンションはパスする。中へ入れないなら、時間をむだにすることはない。私もそのようなマンションに住んでいる。

ドアを開けてもらえる人の率は高くない。以前、2〜3時間やったとき40〜50軒中、私が会えたのは8軒。1つの通りで2〜3軒応答があれば、大成功だ。不在の家にはマークを付けていて、そのマップを使って不在だった家だけをフォローアップのため戸別訪問することもある。柔軟にやっている。

《質問9:戸別訪問はみんなができるわけではないと思う。どんな工夫でみんなを「やろう」という気持ちにさせているのか》

戸別訪問に否定的な人には結局は何か別の活動をしてもらうことになる。先ほどの複数主義・多元主義の考え方が役立つ。否定的な人を無理やり首に縄を付けて引っ張っていくわけにいかない。戸別訪問のリーダーたちには、次回どうやって誘えばより多くの戸別訪問者を集められるか、議論する場を設ける。

しかし、戸別訪問、ドアを開けてもらって人びとと出会うというのは楽しいことでもある。私はある年配の女性に会ったことがある。お連れ合いが亡くなって独りぼっち。ドアを開けてあいさつしたとたんにしゃべり始め、しゃべることしゃべること。「OK。もう行かなくては」と途中で切り上げさせてもらった。この女性はDSAの強力な支持者になり、支部の集会にも参加してくれている。

ふつう言われるのとは逆に、人は話すことが好きだ。反応の悪い人にあたった場合も、個人的に自分が何か言われたと受け取らないほうがよい。「ありがとうございます」と言って立ち去るか、「おじゃましてすみません」と言って退く。

《質問10:小さな子をもつ母親も戸別訪問に参加しているとのことだが、どうやってその意欲を喚起しているのか》

いい質問だ。私たちは月1回会議をもつが、その際必ず託児所を設け、子どもたちの面倒をみるボランティアを募る。私たちの支部には保育の専門家が2人いて、その人たちが託児所の運営を担当する。託児所を整備すれば、参加できる母親たちも増える。ママたちパパたちは地球を救うために活動し、子どもたちは楽しく遊ぶ。

戸別訪問活動の際も子どもをみる担当を決め、母親たちが参加できるようにする。DSAのフェミニスト組織としての側面だ。働く母親たちは困難な状況に置かれている。

(文責 編集部・浅井健治)
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