2021年03月16日

島々シンポジウム 要塞化する琉球弧の今 フルバージョン

週刊MDS第1666号4面に掲載した「島々シンポジウム 要塞化する琉球弧の今」のフルバージョンです。なお、2時間余にわたるシンポジウムの全容はYouTubeで視聴することができます。
https://www.youtube.com/watch?v=Bnvh5nQe6q0

【島々シンポジウム 要塞化する琉球弧の今/住民を犠牲にするミサイル戦争 許さない/宮古島の住民運動の現場から】

 琉球弧の日米軍事要塞化が進んでいる。その主要な担い手は日本の自衛隊だ。住民を犠牲にする「島しょ戦争」現実化の危険性を全国に伝えようと、オンラインによる「島々シンポジウム―要塞化する琉球弧の今」が始まった。主催は軍事ジャーナリストの小西誠さんが代表を務める実行委員会。
 3月7日第1回のテーマは「宮古島・保良(ぼら)ミサイル弾薬庫の開設=ミサイル戦争の始動を阻もう」。闘いの現場から4人のパネラーが発言した。

 1月の補選で投票総数の3分の1を上回る票を得て宮古島市議に当選した下地茜さん(ミサイル・弾薬庫反対!住民の会)は「なぜ反対するのか。集落に近すぎる。私の家は弾薬庫の入り口から160b。防衛省は他の自治体では何d火薬を置くと明らかにしているのに、宮古島では“防衛上の機密”を理由に答えない。ミサイル発射時のリスクも他の自治体では『敷地内に収める』と説明するが、宮古島では『気をつける』だけ」と批判する。
 防衛省があいまいなことしか言わないのはなぜか。「宮古島に配備されるミサイルは固定式ではなく、トラックの荷台に発射台を積んだ車載式。発射したら移動し、移動先で2発目3発目を撃つ。島じゅうを走り、軍事展開していく。それに伴うリスクを防衛省はきちんと説明していない」。安心して施設を受け入れられないのは当然だ。

 反対運動の経過と現状を報告したのは、茜さんの父で住民の会共同代表の下地博盛さん。「月曜から土曜までゲートで工事車両を40分程度止める活動を続けている。人数は5〜6人。基地建設をできるだけ遅らせる、基地機能を可能な限りダウンさせる、できれば無力化をめざす闘い方を模索したい」と話した。

 母親たちでつくる「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」の取り組みを共同代表の石嶺香織さん、楚南有香子さんが紹介。「2015年、安保法制と宮古島への配備が車の両輪のように整えられ、法が成立すればここがその運用の場所になると感じた。5年たって、危惧していたことがまさに目の前に。迷彩服の人たちや軍事車両が生活の中に現れている」(石嶺さん)「配備賛成の方がたとも議論し、『地下水は守るべきもの』と意見が一致。『俺たち戦争したいわけじゃない。平和が一番。子どもの未来は幸せに、と願う』と言われた。私は希望を持っている。全国のみなさんも、9条守れと言うのと同じぐらい、沖縄を捨て石にする作戦をやめろと世論を高めてほしい」(楚南さん)

 1月市長選では「オール沖縄」が推す座喜味(ざきみ)一幸候補が勝利した。石嶺さんは「配備に関して座喜味さんは『問題があれば国に説明を求める』が、自衛隊自体は容認。市民・県民が声を上げ、自治体を動かさなければ。ただ、今まで振り回されきた賛成・反対の分断から少し解放された気がして、ほっとした。平和が目的なのに島の人たちがいがみ合っていたら、つらい。島のためにどんな選択がいいか話し合おう、というスタートラインに立てた」と評価する。

◎基地周辺土地売買規制法案に警戒を

 小西さんが琉球弧要塞化の狙いを「中国封じ込めだけでなく、東シナ海の制海権・制空権を確保し、日米の軍事力で制圧するため」と解説。関連してパネラーから一様に懸念が示されたのが、自民党の部会で2月に了承され、今国会成立がもくろまれている基地周辺の土地売買の規制法案だ。重要な施設周辺を「特別注視区域」に指定し、土地売買時に個人情報や利用目的などの事前届け出を義務づける。違反者には懲役・罰金を科し、必要に応じて国が買い取れるようにする。小西さんは「戦前の要塞地帯法と同じ。売買も写真撮影も移動もすべて制限された」と警告した。

 司会の映画監督・三上智恵さんが最後に「日米の軍事政策が一体誰のためなのか、誰を犠牲にして誰が得をするのか、見えてきた。この問題を知ること、発言すること、子どもたちと話をすること―平和をつなぎとめるためのいろんな活動を、みなさん、していきましょう」と呼びかけた。

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下地茜さん

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楚南有香子さん(左)と石嶺香織さん

(編集部 浅井健治)
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