2018年01月25日

南西諸島への自衛隊配備〜米軍戦略からみえる狙い:伊波洋一参院議員

以下は、1月18日参院議員会館で行われた「STOP!南西諸島の自衛隊配備院内集会&政府交渉」における伊波洋一参院議員の発言のあらましです。

この中に出てくる安倍のハドソン研究所スピーチや海上自衛隊幹部学校『海幹校戦略研究』については、次の週刊MDS記事もご参照ください。
【1384号主張/安倍が戦争法制に固執するワケ/軍事力のグローバルな先制発動】
http://www.mdsweb.jp/doc/1384/1384_01a.html
【ミリタリー 危険極まりない米軍の対中軍事戦略 日本はアジア軍事支配に「活用」】
http://www.mdsweb.jp/doc/1422/1422_02m.html

−ここから−

 南西諸島の自衛隊配備は、(会場に掲げられたプラカードを指しながら)与那国島・石垣島・宮古島・沖縄本島・奄美大島・馬毛島・佐世保と書いてあるが、1か所だけの問題ではない。全部関連してくる。佐世保の水陸機動団をキャンプ・ハンセンあるいはキャンプ・シュワブに移そうという話もある。今何が起こっているのか。
 辺野古では新基地が建設され、高江ではヘリパッドがつくられ、伊江島では訓練施設がどんどんつくられて訓練が強行されている。沖縄の米軍基地は強化されている。その中での自衛隊配備だ。
 ここに配備される部隊は有事即応部隊、すぐ戦争するための部隊だ。そこが戦場になりますよ、と想定している。去年の自衛隊法改正で正式に「南西シフト」になった。自衛隊の総力が南西諸島での戦争に備えるシフトに変わっていく。これは日本を守るものなのか。そうではない。日本を戦場にする、南西諸島だけではなく日本列島を戦場にするものだ。
 何のための戦略か。アメリカの対中国戦略だ。中国とアメリカが有事になったとき、その戦争を日本列島、南西諸島で引き受けてもらい、そこで火消しをする。そこで終わらせる。エア・シー・バトルの典型であるオフショア・コントロール戦略に基づいている。
 2010年頃まで、アメリカは中国をやっつけきれると思っていた。中国を奥深くまで攻撃し、戦争で勝つ。しかし、アフガニスタン戦争、イラク戦争の後、2008年のリーマンショックでアメリカの経済が停滞する一方、中国は2桁の成長をし、今や購買力平価で中国経済はアメリカを抜いた、2020年代にはドル・ベースでも抜くといわれている。1995年に中国の経済力は日本の10分の1だったが、今は4倍。2030年頃には10倍になる、6・7%の成長が持続するだろうといわれている。もはやアメリカは中国と戦争しない。しかし、何らかの有事が起こった場合、どこで火消しをするかと練られているのが、オフショア・コントロール戦略だ。
 2012年末に安倍政権が誕生した。安倍首相は2013年9月、アメリカに行き、本当はオバマ大統領と集団的自衛権の話をしたかったが、オバマ政権から「そういうことは言うな」と制止されて、ハドソン研究所で「集団的自衛権についての憲法解釈を見直す」という講演をした(今も首相官邸のホームページに載っている)。「日本がアメリカの安全保障の弱い環であってはならない。強い環になる」と。これは南西諸島の軍事強化の表明だ。「右翼の軍国主義者と呼びたければ呼んでいただきたい」とまで言っている。翌年、集団的自衛権の行使容認を表明し、2015年には実際それを法制化した。
 ハドソン研究所でメッセージを出した後、早速、沖大東島で離島奪還訓練が行われた。宮古島と那覇に地対艦ミサイルを配備し、訓練した。これは2011年から、そのときは奄美大島で、行なっている。そして、石垣島・宮古島・奄美大島への自衛隊配備が発表され、とても速いテンポで進んでいる。
 何のための部隊配備か。南西諸島を太平洋へと通過しようとする中国艦船を攻撃し、出させないためだ。米中が戦争状態にある有事を想定し、集団的自衛権の行使として行う。だから集団的自衛権が必要になる。訓練はアメリカで、沖縄で、毎年繰り返し行われている。本土各地の自衛隊基地からも、沖縄で戦争することを前提としたさまざまな取り組みが行われている。強襲揚陸艦も購入する。米海兵隊のような役割を持つ。すでにオスプレイは17機購入する。水陸両用車52両も購入する。
 どうして自衛隊がそれをやるのか。日米安保はアメリカが日本を守る安保ではない。“日本の領土は日本が守りなさい”なのだ。そういう名目の下で、尖閣問題が起こり、中国の脅威から日本を守るために配備すると一般的にはいわれている。
 4年前の石垣市長選の直後に公表されたビデオがある。全国から南西諸島に部隊をどのように展開するか、いかに自衛隊の中に海兵隊をつくっていくか、が報じられている。在日米軍(海兵隊)と自衛隊との共同指揮所演習では、まさに宮古島を舞台として“どう戦うか”の戦争の訓練をした。そこまで行っている。
 なぜ自衛隊を配備するか聞くと、彼らは空白地帯だからと説明する。南西諸島は沖縄本島には自衛隊基地があるが他はないから、奄美大島にも宮古島にも石垣島にも基地を置くことが安全保障になるから、と。しかし、そうではないだろう。
 島を守るには非武装・無防備にするのが一番いい。国際法上、非武装・無防備地帯は基本的に攻撃しない。ただし、占領に対しては開かれてはいる。だが、戦争はしない。それを無視し、そこで戦争をする前提で今回配備している。政府は防衛の空白を埋めるための配備と言うが、実際は敵国からの目標をつくることになる。島は縦深性もなく、攻撃されても守れない。四方八方から攻撃される。今の自衛隊の訓練は島を守る訓練ではない。島が攻撃され占領されて奪還する訓練、離島奪還訓練しかしていない。島に基地をつくり、そこが占領されることを前提に、そこで戦争が起こっていることを前提に、それを奪還する訓練をしている。
 2005年の日米同盟再編合意で「日本は弾道ミサイル防衛やゲリラ・特殊部隊による攻撃、島しょ部への侵略など新たな脅威や多様な事態への対処を含めて自ら防衛し、周辺事態に対応する」とした。日米同盟は自分たちの島は自分たちで守るんだ、と。日米安保はアメリカが日本を守る役割をするのではない、という合意を結んだ。水陸機動団はアメリカにはいくつもあるが、海兵隊はそれをしない。
 2011年に創刊された海上自衛隊幹部学校『海幹校戦略研究』にいくつも論文が出ている。とりわけ「アメリカ流非対称戦争」(2012年5月)はまさに宮古島・石垣島のことを言っている。宮古島と沖縄本島の間の公海は400キロぐらいあり、ここを阻止することがいかに重要か、と書かれている。その意味は台湾防衛。「台湾の脆弱な東海岸に中国軍艦を行かせない」ための取り組みだ。アメリカが守ろうとしているのは台湾であって、尖閣ではなく日本ですらない。これが今アメリカが進めようとしている戦争だ。
 大きな目的は、米中戦争を琉球列島での戦闘で「米国政府の適度な目標達成に有効とする」こと。米中全面戦争や核戦争にエスカレートさせない制限戦争を行うためだ。「核の閾値(いきち=しきい値)以下にとどめることが肝要」で、米中はそれぞれ相手を攻撃しないという流れになっている。「外見はささいな日本固有の島しょ(宮古島や石垣島のような)をめぐる争いが、通峡阻止の戦いでは紛争の前哨戦として一気に重要になる」(尖閣をアメリカは日本固有の領土と認めていない)。こういう戦略が作られ、そのことに一生懸命日本が行動する。最終的に島におけるゲリラ戦になる。
 参院外交防衛委員会で質疑した。配備される部隊は一つの場所にい続けるのではなく、1回ミサイルを撃ったらすぐ探知されるのですぐ動く。市街地から離れた集落周辺から発射されることもある。隠れる場所(掩体=えんたい)もつくらなくてはいけない。それをつくる部隊は、配備はしないが、九州から来る。日頃から演習が行われる。
 住民保護は誰がするのか。「市役所のやる仕事です」と。驚いたことに、防衛省の職員に聞くと、住民保護計画は予算が1円もない。何のシェルターもつくっていない。保護のパターンを作れと言っているにすぎない。
 中国と戦争する必要はない。今年は日中平和友好条約40周年。戦争の準備よりも平和を深める方がいいというのが私の結論だ。尖閣の問題を早く収めて、アメリカのための戦争をする場を日本が提供するよりは、「私たちは戦争はノーだ」と言い、基地をなくす流れにしていくべきだ。

−ここまで−

(編集部 浅井健治)
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