2020年10月06日

「非国民がやってきた!」×『ジョージ・オーウェル』

コラム「非国民がやってきた!」筆者の前田朗さんご自身をはじめ何人かの方から私の投稿にコメントをいただきました。ありがとうございます。これを機に同コラムをしっかり読んでみようという方が増えれば、編集者冥利に尽きます。

事は植民地主義をめぐる議論に集約されていくのでしょう。前田さんによると、その「植民地主義」が学術用語として確立していない、とのこと。話がややこしくなるのも無理はありませんね。

最近、学術というより生き方という面から植民地主義の根の深さを教えてくれる本に出会いました。岩波新書『ジョージ・オーウェル−「人間らしさ」への讃歌』(川端康雄著)です。

「反ソ・反共」の作家として右派知識人からもてはやされたオーウェルですが、作家生活に入る前の19歳から24歳まで英領インド帝国警察官としてビルマ各地に赴任していました。そこで彼が感じた「植民地統治者の不安」とは…。本書第2章で見事に描き出されています。

しかし、本書で一番胸打たれるのは(といってもまだ3分の2しか読んでいません)、第6章「スペインの経験」です。オーウェルは共和国政府側のPOUM(マルクス主義統一労働者党)民兵隊の一員として内戦を戦い、『カタロニア讃歌』を著します。

スペインとくにバルセロナで彼が入り込んだのは「希望が無気力やシニシズムよりもふつうである社会」でした。オーウェルはその後、自分のシリアスな作品はすべて「直接間接に全体主義に反対し、私が理解するところの民主的社会主義を擁護するために書いた」と述べています。川端さんによると、『カタロニア讃歌』は「社会主義を偽装した専制への反対と、自身が確信する民主的社会主義の擁護というふたつの目的を併せて」書き上げられたそうです(P128〜129)。

植民地主義の克服と民主的社会主義への確信、オーウェルから私たちが学べるものは限りなく深いような気がします。

https://www.iwanami.co.jp/book/b515750.html

(編集部 浅井健治)
posted by weeklymds at 16:36| 報道/活動報告