2021年05月05日

いま何もしなければすべてが台無しになる:高校生@緊急気候アクション

2週間前の話ですが、今からでも遅くないと考え、投稿します。4月22日、気候変動サミットに合わせ、若者たちが経済産業省前で緊急アクションを行いました。以下は、最初にマイクを握った高校3年生、山本大貴さんの発言の概要です。

なお、アクションの全体像については次の報道があります。ご参照を。
◎気候変動を止めるため、若者らがハンガーストライキ。日本政府への抗議広がる
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_608106bfe4b01e14f06d6032
◎もっと引き上げて!62%減必要! 政府が温室効果ガス「30年46%減」の新目標表明
https://www.tokyo-np.co.jp/article/99881?rct=national
◎経産省前で、温室効果ガス削減目標の大幅引き上げを求めてスタンディング!
http://www.labornetjp.org/news/2021/1619481040911staff01

−ここから−

きょう4月22日、東京では日比谷公園からマーチをする予定だったが、コロナの状況を見てソーシャルディスタンスをとってのスタンディングアクションに変更した。

僕はいま高校3年生。きょうは学校を休んでここに来た。本来であれば僕はいま学校で授業を受けていて、普通の高校生活を送っているはずだった。しかし、僕が大人になったころ、そして僕のさらに下の世代、子どもの世代が未来を保証されるとはいえない状況になっている。

何かというと、気候危機がいま始まっている。気候変動問題に対してこれまでいろんなところでいろんな人が声を上げて、みんなで対策をしていこうとしてきた。でも現状は、本質的なことは何も解決されないままどんどんと気温は上昇し、豪雨や熱波、豪雪、異常気象が毎年のように発生している。すでに緊急事態になっているのに、まだ政府は抜本的な政策の見直しを行おうと考えていない。

きょうは気候サミットが開かれる。その中で、僕たちが一番大事だと思っている2030年温室効果ガス削減目標、通称NDCが見直される。現行は2013年比26%とされているが、この数字では到底気候変動を解決することはできない。政府はいま45とか50%といった一見するとすごく大幅な引き上げと言っていて、数字を新しく出そうとしているが、僕たちは62%という数字を求めている。これはクライメート・アクション・トラッカーという国際NGOが出している数字。国際的に日本は62%という数字を排出国としての責任をもって出さなければいけないと言われているが、しかし、45とか50%といったところで妥協点を探そうとしている。このままでは未来を守ることができない。

この数字のままでは、もうタイムリミットが迫っている気候危機に対して有効な対策を行うことができない。この裏には具体的な政策、とくにエネルギーの問題がからんでいる。火力発電によって出されるCO2の量がとても多い。火力発電をやめて例えば再生可能エネルギーにしていく政策のためには、この数字が大前提になる。逆に言えば、エネルギーの問題を解決することが数字にも大きく影響を与える。

石炭火力発電やその他の火力発電もまだまだ延命させようという経済産業省の動きがある。しかし、そういった動きではこれからの新しい社会の中で気候危機を止めることはできない。

これからどういったことが必要か。タイムリミット、気候危機がパリ協定に基づけば2度、努力して1・5度に抑えようという中ですでに1度上昇しているいま、迅速に対応し排出を削減していかなければならない。エネルギーの問題を考えるときも、火力発電はすべて最終的にはなくす、ゼロにしていく。そして僕たちは原発に関してもゼロにしていくことを訴えている。再生可能エネルギー、自然エネルギーを普及させるには、ほかの発電にいつまでも頼っているようなことはしてはいけない。

エネルギーの問題が一番だが、ほかのすべての分野、すべての産業において気候変動に対する対策をすることがいま求められている。その対策というのは、一人ひとりが単にエコバッグを持てばいいとか、マイボトルを持てばいい、たしかにそれも一つのアクションではあるけれども、それが本質的な解決にならないことを訴えなければならない。

一人ひとり市民が声を上げて、政策決定にしっかりと自分の意思を表明していくことがとても重要だ。僕たち若い世代が声を上げている、この現状は本当はおかしいことだ。いまの大人たちがつくってしまったこの世界に対して責任を持っているのは本来であればいまの大人のはずだ。いま社会をつくっている人たちが若者のいまの声を聞いて、当たり前のように“やっぱり気候変動対策のために頑張っていかなければいけない”、それもちゃんと本質的に解決する、温度上昇をできる限り抑えることをちゃんと考えなければいけないのに、全然そういった本気の政策が進んでいない。僕はとてもそれが悲しいし、悔しい。

だから、きょう学校を休んでここに僕は立っている。おそらくこのNDCの数字は(聴取不能)ものにはならないと思う。しかし、きょうここで僕が声を上げた事実は変わらない。62%にしてほしいという思いは変わらない。これからも、具体的な政策が決まっていく中で、この本質的に問題を解決する、どこにも妥協点を探さずにちゃんとした数字を訴えることを僕はしたい。そして大人には、科学の声、若者の声を聞いて責任ある行動をとってほしい。すべての大人、大人だけではないが、すべての社会の人が自分の生きている中で、この問題に真剣に取り組もうと決意してほしい。それは、何かを捨て何かを犠牲にしてやっていくということではなくて、いま何もしなければすべてが台無しになってしまう、そういう危機感だ。みなさんにはそういう危機感でこの問題を見つめ直してほしい。いまがそのタイミングだと思っている。

コロナの危機もまだ続いているが、気候変動の問題はこれから何十年にもわたってずっと長いこと取り組んでいかなければいけない危機だ。すでにもうそれは始まっている。始まっている危機に対して対策をしない選択はないはずだ。これからどういった社会で僕たちがどういった幸せな生活を送っていけるかは、いま政府で話し合われているNDC、そしてその次にある具体的な政策、そこに大きくかかっていると一番伝えたい。学生としてできることはなかなかないと思っていたが、こうやって声を上げるだけでも多くの人に届いていくし、声を上げるだけでも何かが変わっていくと僕は信じている。みなさんで一緒に声を上げていきたい。

−ここまで−

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(編集部 浅井健治)
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