ウクライナ軍の「反転攻勢」が伝えられています。ハルキウ州「全域解放」が間近とも。しかし、それでウクライナに平和は来るのでしょうか。
DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)国際委員会は8月28日、「ウクライナ戦争、影響と展望:女性、労働者、グローバル・サウス」と題するオンライン・セミナーを開きました(反戦団体CODEPINK、World BEYOND War<戦争に打ち勝つ世界>共催)。以下は、パネリストの一人、「ウクライナ平和主義運動」事務局長ユーリー・シェリアジェンコさんの発言です。
ユーリーさんはウクライナ、ロシア両国で強まる反戦運動・良心的兵役拒否運動への弾圧を批判し、「非暴力の社会、戦争・軍隊・国境のないよりよい世界を構築する闘い」の必要性を熱を込めて訴えています。
(ユーチューブの自動生成字幕をグーグル翻訳アプリにかけた日本語訳をベースにしました。人名・地名などは字幕自体、不正確です。それらを含め、多々あるであろう誤訳・不適訳、何とぞご容赦・ご指摘くださるようお願いいたします)
同セミナーは以下で視聴することができます。ユーリーさんの発言は18分50秒あたりから。
https://international.dsausa.org/ukraine/−ここから−
[司会 次はユーリーがウクライナから軍国主義反対について語る。 ユーリー・シェリアジェンコはウクライナを拠点とし、World BEYOND Warの理事、ウクライナ平和主義運動の事務局長、良心的兵役拒否ヨーロッパ事務所の理事を務めている。平和運動への参加に加え、キエフのXX大学で法学博士号と仲裁・紛争管理修士号を取得した。ジャーナリスト、ブロガー、人権擁護者、法律学者、学術出版物の著者、歴史における法理論の講師でもある。]
親愛なる友人のみなさん、ウクライナの果てしない戦争について議論する機会を与えてくれてありがとう。この戦争は、暴力的な資本主義の不当な栄光と利益を助長し、女性の不安定さを増大させ、労働者を意志に反して兵士に変え、グローバル・サウスの飢えた人びとに食料を供給する道を閉ざしている。いかなる戦争も、抑圧された階級の苦しみを深刻化させる。戦争の真の犠牲者は戦争する政府ではなく、交戦諸国によって殺害され、苦しめられ、生活手段を奪われた、あらゆる場にいる平和を愛する市民たちだ。
ロシアとウクライナの戦争は、世界で進行中の武力紛争の10倍に上るとされる最大の資金が提供された戦争であり、地政学的支配をめぐる多面的な大国間の争いのカギとなる戦場であり続けている。東西対立の深化とともに状況は悪化し、数万人が死亡し、数百万人が難民や国内避難民となり、多くの住宅や重要なインフラが破壊された。ロシアによる侵略の後、ウクライナ経済は混沌へと沈み込んでいる。ロシア経済は西側の制裁によって深刻な打撃を受けている。両国でインフレは所得の5分の1を食い尽くしている。
NATOと米国は今も軍事支援を中心に置いている。米国の兵器産業のマーケティング部門は、ロシア・中国との戦略的ライバル関係を宣言し、核の小競り合いとウクライナへの武器供給を続け、流血を無限に引き延ばしている。ロシアは、NATO が核のエスカレーションへの準備を示すことで核再軍備に向けた西側諸国のより多くの支出を誘発している中で、単独で戦っているようだ。すべての核保有国が核兵器禁止条約をばかばかしく中傷し、署名を拒否したのは恥ずべきことだ。
数年間にわたる無意味で無分別な戦争における流血の末、ロシアとウクライナが互いに極端に弱体化したことが交渉につながる可能性はあった。しかし、それは墓地における平和であり、常識や平和運動の勝利でも、唯一実行可能なウィンウィンの(双方にプラスになる)選択肢でもなかっただろう。撃ち合いをやめて話し合いを始めるのが早ければ早いほど、国連は頑固な好戦主義者との間でグローバル・サウスへの食糧供給開始という奇跡を首尾よく起こすことができたはずだ。しかし、30億ドルの予算を持つ国連はウクライナでの戦争をほとんど止められず、この戦争には西側だけですでに400億ドル以上の資金が提供された。他の進行中の戦争に全世界で2兆円もの予算がつぎ込まれていることは言うまでもない。常軌を逸した莫大な公的資金が軍事支出に浪費されている。
米国とヨーロッパ諸国では、インフレが急速に進んでいる。インフレのこの普遍的なマイナスの影響は、すべての経済が相互に依存しており、これ以上悪い制裁はなく、敵対的な政策が世界経済をライバル同士に分割しかねないことを示している。世界中が、従来の経済構造の軍事化と社会における暴力の過剰生産に苦しんでいるが、これは主にこの構造的な問題が原因であり、軍国主義プロパガンダによって悪魔化されたある種とてつもなく邪悪な敵のせいではない。したがって、非行を犯した者、すべての交戦当事者の犯罪行為の不公平な扱いは適切ではなく、犯罪者はもちろん責任を負わなければならないが、国連の人権機関やアムネスティ・インターナショナルなどの市民団体の報告に見られるように、この戦争の当事者双方において戦争犯罪と深刻な人権侵害が行われていると指摘することは重要だ。
例えば、ザポリージャ?原発周辺の戦闘では双方がいかに無謀な行動をとっているかが分かる。ロシア軍が同原発を制圧し、標的に変えると、ウクライナ軍が同原発を攻撃。原発を非武装地帯にするという国連の提案は、何をすべきかの最良の考えだが、両交戦当事者ともこの民間施設に対する軍事的支配の野望を放棄するつもりはない。
ウクライナ平和主義運動のメンバーで、プロ水泳選手・良心的兵役拒否者のアレクサ・フィオニックは、数十年前ソビエト軍への入隊を拒否し、海を泳いで渡ってソ連から逃れようとした。現在はニプラ川岸、アンエルハダルの対岸のマルハニッツ市に住んでいる。彼はこの戦闘のあらゆる恐ろしい物音を聞き、法律に基づいて居住地を離れる許可を求めた。許可なしに合法的に生活することはできない。しかし、軍当局は彼に許可を与えることを拒否した。今のところ軍隊で必要とされていないため、軍は彼を動員しようとは強く主張しなかった。軍隊は社会を動員し、戦争機械に従属させる。それは農奴制とも呼ばれる。農奴制と奴隷制という公式用語は用意された現実のものだ。軍隊は、徴兵のために、また塹壕を掘るなどの強制的作業のために、いわゆる予備役を必要とする。多くの人びとは、ウクライナが長期にわたる災害に陥っていることを理解している。
男性の海外渡航を許可するよう求めるゼレンスキー大統領宛ての2つのオンライン署名は、数万筆を集めた。大統領はこれらの請願に拒絶と軽蔑をもって応えた。ウクライナ国家国境警備隊は6000人以上の男性、いわゆる軍事動員忌避者を国境で足止めし、徴兵センターに送り込んだ。多くの人が西側の大学に入学許可されているが、国境警備隊は法律に反して彼らのウクライナ出国を認めなかった。10月には、医療従事者や技術者などの一部の職業の女性、さらにはすべての女性に対して、兵役と旅行制限がより積極的に拡大される可能性がある。女性の強制的な軍登録に反対して一般市民が請願を行ったが、政府は教育を受けた専門職の女性を抑圧するこの政策を引き続き強化しようとしている。主婦は今のところ対象外だが、いずれ影響を受けることもあり得る。
現行法では国際人権基準に反して軍務に対する良心的兵役拒否が認められていないため、状況はとくに問題だ。平和主義者や福音主義のキリスト教徒を含む何人かの拒否者は、法廷で懲役と保護観察を言い渡された。軍事動員の忌避は3年から5年の懲役によって処罰される。アムネスティ・インターナショナルが良心の囚人と認定した友人のルスラン・カサブは、軍の動員のボイコットを呼びかけるビデオを流したため、524日の間投獄された後、釈放されたが、再び圧力を受け、数回暴行されたあげく、再審にかけられた。彼は依然この恥ずべき再審を受けている。私のもう一人の友人シャリアンカは、軍務への良心的兵役拒否と和平交渉を呼びかけるビデオを撮ったため、軍の脅迫にさらされた。エルヴィラという名の若い女子学生は、人生で初めてインスタグラムに反戦の投稿をしたため、誹謗中傷を受け、XX大学から追放された。
ロシアでは、勇気ある反戦活動家と良心的兵役拒否者が同様の攻撃と弾圧に直面している。軍は、戦争は絶対的なものであり、良心は好戦性に従属すべきだと考えている。正気の沙汰ではない。平和を準備するのではなく戦争を準備するために、外交の10倍の公的資金を軍に費やしている。その代償として私たちが流血を強いられたのも不思議ではない。私たちは、いわゆる「敵」との和平交渉は不可能とする軍事戦略を信頼することはできないし、信頼すべきではない。ウソに満ちた覇権的な西側帝国についてのロシアのおとぎ話や、狂った独裁者が世界を支配しているという西側のおとぎ話を聞いたなら、人びとの常識に反して戦争を繰り広げ、そのようなナンセンスの拡散をメディアに促す軍事化された普遍的な経済構造から誰が利益を得ているのかを尋ねてみてほしい。戦争をさらに推し進める物語と政策を押し戻すために、「敵」というイメージを解体し、平和教育を発展させ、あらゆる側のすべての交戦国による人権侵害の真実を広めるべきだ。十分な資金を備えた戦争挑発の主流に対して芸術的・哲学的・宗教的に応じることは多くの場合、批判的思考に慣れている人びとにとって十分に満足できるものではない。
非暴力的な生活様式への普遍的な移行は、科学的な平和主義、証拠に基づく意思決定および大衆のリテラシーと目覚めに基づくべきだと私は強く信じる。戦争を終わらせ、平和と社会的および環境的正義、人権の実現に向けた積極的な運動を含む平和の文化を発展させるために、非暴力的な解決策を模索し提唱する学術的基盤が必要だ。好戦勢力は現在、彼らの好戦性への構造的および状況的なインセンティブを持っている。これらのインセンティブは取り除くか、損失の恐れよりも利益への希望に訴える和平プロセスへの積極的なインセンティブに置き換えるべきだ。主権国家とその兵器産業、いわゆる暴力の独占による絶対的な領土支配をめぐり競合する軍隊など恐るべき形態の資本主義企業による武器と暴力の過剰生産の危機に対処するため、戦争経済は脅威や苦痛に対する寛容のレベルを高めてしまった。
私たちは、これが現在の世界経済の構造的な問題であり、ウクライナ戦争を含む世界における現在の数十の戦争をすべて止めるには構造的な変化が必要であることを理解している。国家の主な目的は暴力を生み出すことだという考えを見直す必要がある。私たちは非暴力の社会、戦争・軍隊・国境のないよりよい世界を構築する必要がある。そこではウクライナ人とロシア人双方が、共通の土地である母なる地球をよき領土として保全し分かち合うすべての人間の大家族の幸せな一員になる。キエフ、クリミア、ドネツク、ルハンシクは、人びとに優しい非暴力の調和によって支配される一つの惑星上で団結する。ロシアとウクライナ、東と西の間に非暴力の関係を構築する包括的ですべての人を受け入れる世界規模の和平プロセスが必要だ。軍事化された主権国家間、とくにいわゆる大国間の世界分割は、解決策でも勝利でも降伏でも体制変革でもない。大きな構造的変革が必要だ。私たちは、この惑星上のすべての生命を殺すことができる国家核備蓄の誇り高き所有者の暴力的な資本主義によって引き起こされる戦争の地球規模のエスカレーションを避けるために、あらゆる人びとに害や抑圧を与えることなく福祉の成長を促進する非暴力的な統治を必要としている。世界中の市民社会は、平和運動の発展と構造的な経済変革の提唱を通じて、戦争による不当な利益を抑制し、社会生活の平和的な組織化を推進すべきだ。
非暴力の生活をめざすよく知られた政治的技術はたくさんあり、私たちはそれらをどんどん考案することができるだろう。平和を支持する人びとの合理的な選択を妨げるものは何もなく、世界中の人びとが1980年代のように大きな声で共同してそのことを言うべきだ。80年代には何百万もの人びとが世界中で街頭に繰り出し、核戦争を防ぎ、それに代わって軍縮を前進させた。私たちがこの惑星に暮らす一つの市民として、一つの家族の地球規模の平和運動として行動したとき、人類が最も必要とする要求に従い、核備蓄の80%が廃棄された。ウクライナ戦争を止め、世界のすべての戦争を止め、平和を築くために、私たちは再びそのことを行えるだろうし、行う必要がある。多くの非暴力の活動が待ち受けている。希望と勇気を持って一緒に進めていこう。
−ここまで−

(編集部 浅井健治)
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